カテゴリー
ネットワークスペシャリスト

令和7年(2025)春 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ解答

※解答はIPAのサイトを引用しておりますが、解説は独自ですので参考程度にご覧ください

    問1 社内ネットワークのIPv6対応
    設問1 [a]~[c]に入れる字句を記号で答えよ

     答:  [a]TPA [b]グローバル [c]リプライ

    [a]には「TPA」(ターゲットプロトコルアドレス)が入ります。

     ARPリクエストとは、IPアドレスから対応するMACアドレスを求めるための、ネットワーク上で送受信される問い合わせ(パケット)のことです。

     ARPパケットのフィールドには代表的なものとして次の4つがあります。


    ・送信元ハードウェアアドレス(SHA)
     →自身のMACアドレス

    ・送信元プロトコルアドレス(SPA)
     →自身のIPv4アドレス

    ・ターゲットハードウェアアドレス(THA)
     →不明(全部0)これから教えてもらう!

    ・ターゲットプロトコルアドレス(TPA)
     →名前解決したい相手のIPv4アドレス


    「TPA」フィールドにMACアドレスを知りたい相手のIPv4アドレスを入れ、
    ブロードキャストするのがARPリクエストになります。

    よって解答は「TPA」になります。


    [b]には「ブロードキャスト」が入ります。

     ARPリクエスト送信の段階では宛先のMACアドレスがわからない状態のため、
     ARPリクエストは「ブロードキャスト」
    (宛先MACアドレス:ff:ff:ff:ff:ff:ff)で
     同じネットワーク(同一セグメント)内の全ての機器に向けて送信します。


    [c]には「リプライ」が入ります。
     ARPリクエストを受信した、要求されたIPv4アドレスをもつノードは、
    自身のMACアドレスを送信元MACアドレスフィールドに入れたARP「リプライ」を
    ARPリクエストの送信元MACアドレス宛にユニキャストで送信をします。

     



    設問2 IPv6アドレスの割当てについて答えよ。

    (1) [d]~[f]に入れる字句を記号で答えよ

     答:  [d]16 [e]48 [f]64

    [d]には「16」が入ります。

     図2のとおりIPv6アドレスは128ビットで構成され、それを16ビット×8個にコロン(:)で区切って表されます。

    [e]には「48」が入ります。
     MACアドレスは「48」ビットで構成され、それを8ビット×6個にコロン(:)で区切って表されます。

    [f]には「64」が入ります。
     Modified EUI-64とは、IPv6で自動的にインターフェースID(アドレスの後半64ビット)を作る方法の1つです。
     MACアドレス(48ビット)を64ビットに変換して使う方法のことをModified EUI-64形式と呼びます。



    (2) 本文中の下線①について、LLAが有効な範囲を20字以内で答えよ。

     答: 同じネットワークセグメント内

     LLA(リンクローカルユニキャストアドレス)は同一リンク内(同じネットワークセグメント内)だけで通信するためのIPv6アドレスのことです。
     LLAは、RA/RSメッセージ(Router Advertisement/Solicitation)や
     ARPの代わりになるNS/NAメッセージ(Neighbor Solicitation/Advertisement)などで使用されます。


    (3) 図3中の処理 (i) 及び (v) を行う目的を、55字以内で答えよ。

    答: これから使用予定のLLAおよびGUAが同一ネットワーク上の他ノードに使われていないか確認するため

     IPv6アドレスにはLLA(リンクローカルユニキャストアドレス)と
    GUA(グローバルユニキャストアドレス)があり、 図3はPC自身がLLAとGUAをNDPとSLAACを用いてを生成する処理です。

    LLA…ネットワーク内で使うローカル用アドレス
    GUA…インターネット上で使えるアドレス
    NDP…近隣ノードの発見、通信用のプロトコル


    まず(i)は、ノード1が使用予定の仮のLLAを生成し、
    ノード2とノード3にそのLAAをNS(Neighbor Solicitation)メッセージで送信しています。

    NSメッセージとは、NDPの機能の1つで近隣ノードのMACアドレスを確認する、いわばIPv4のARPのような役割で
    メッセージを受信したノードの次のように動作します。

     ・同じアドレスを使っていない場合
      →NSメッセージを破棄

     ・同じアドレスを使ってる場合、
      →NAメッセージで応答

    つまりNSメッセージがどのノードからもない場合、
    使用予定のアドレスは誰も使っていないので使用OKという確認が取れることになります。
    (v)も同様で、これから使用予定の仮のGUAを生成し、
    ノード2とノード3にそのGUAをNSメッセージで送信、
    NSメッセージがどのノードからもない場合は
    使用予定のアドレスは誰も使っていないので使用OKという確認が取れることになります。
    まとめると、(i)と(v)は自身が使用予定のIPv6アドレスが、
    ネットワーク上で他のノードに使われていないかの重複確認の目的をもちます。
    よって解答は「これから使用予定のLLAおよびGUAが同一ネットワーク上の他のノードに使われていないか確認するため」となります。



    (4) 図3中の処理 (ii) の正式なLLAがfe80:8:800 200c:417a であり、処理(iv) のRAメッセージに含まれるサブネットプレフィックスが2001:db8:aabb:1::/64 であった場合に、処理 (v) で生成される仮のGUA及びプレフィックス長を答えよ。

    答: 2001:db8:aabb:1:8:800:200c:417a/64

     仮のGUAはRAに含まれるプレフィックス(先頭64ビット)とLLAのインタフェース識別子(後ろ64ビット)を繋げて作ります。

    1.今回のリンクローカルアドレス

     fe80:8:800:200c:417a

     このインタフェース識別子部分(後ろ64ビット)は
     → 8:800:200c:417a


    2.これをRAで受け取ったプレフィックス

     → 2001:db8:aabb:1::/64
     の後ろにくっつけると

     「2001:db8:aabb:1:8:800:200c:417a/64」

       となり、これが解答になります。


    (5) 本文中の[g]に入れる適切な字句を答えよ。

     答: デフォルトゲートウェイ

     SLAACでPCに自動設定できるものは本文中に記載のGUA、LLAとデフォルトゲートウェイを設定することができます。
    (iv)で”ノード3はデフォルトルータを決定するための情報をRAメッセージにいれて、ノード1宛てに送信”とあります。

    RAメッセージにはRouter Lifetimeという項目があり、これが0なら採用しない、0以外なら採用するという決まりがあります。
    Router Lifetimeが設定されたRAメッセージを受信したノード1は「デフォルトゲートウェイ」としてこのノード3のLLAと認識します。


    (6) 本文中の下線②について、P主任がこのように考えた理由を20字以内で答えよ。

     答: IPv6アドレスからPCを特定することが難しくなるから

     LLAやGUAはPC自身が生成するため、生成に必要なインターフェース識別子を疑似乱数関数でランダム化した場合、
    どのPCがどのIPアドレスを使用しているか把握しにくくなり、アクセスログ等でもIPアドレスからPCの特定が難しくなります。
    よって解答は「IPv6アドレスからPCを特定することが難しくなるから」になります。